「あ、あの、ぶしつけだとは思うんですが、その、アツェムさんは何処で解読術を会得したんですか?ああっ、いやなら別に無理に教えてくれなくても良いんですけど・・・・。」
エリシエの問いにアツェムはあっさりと答えようと口を開いた、が。
「ああ、それは、私が――――もががっ」
案の定、フェリシアが急いでアツェムの口を塞ぐ。
そして、それだけでは飽き足らずアツェムの代わりに驚くほどの早口で言葉を並べていった。
「ああそれはねこいつ旅して生活してる一族やらに生まれたとかでそういう技術とかむかしっから叩き込まれてたらしくてさー珍しい人種も居たもんだよねーあははははそれでその一族からはぐれたとかで今ここで働いてるのよねーアツェム?そうだよねー?」
フェリシアは顔は笑っているが目が全く笑っていない。
ここで頷かなければ恐らく今夜は無事に眠れないだろう、そう判断したアツェムは話をあわせる事にした。
「ええ、まあ、そう言う訳でして。」
そのかいあってか、
「あ、そうだったんですか、すいません。いやな事を思い出させてしまって・・・」
エリシエは簡単にこれを信じ、それどころかこちらを気付う言葉までかけてきた。
だが、これには嘘を並べた二人が気まずそうだった。
互いに妙な沈黙が続く、
すると
「あ、こんな時間だ、そろそろ僕帰りますね。」
エリシエがそう言い出した。
本当に時間の事もあるだろうが、この雰囲気が彼にそういわせた主な原因らしかった。
それに気付いてか、二人も
「ああ、そうですね。では、また明日。」
「また明日きなさ、あ、いらしてください。」
各々別れの言葉をかける。
「はい、明日もお願いします。」
再会の言葉を置いて、若き古文学者は帰って行った。
それから程なくして、時間も時間だったので二人も仕事を終え、帰路につく事となった。
家へと帰る途中、アツェムがフェリシアに尋ねる。
「あの〜?」
「ん?なに?」
「いえ、さっき、どうしてあんな事したんです?」
「なにが?」
アツェムの指している事が何か判らず、フェリシアが聞き返す。
「ほら、エリシア君と話していた時。私の口を塞いだでしょう?」
と、そこでアツェムに向けられたのは「ああ、それか」と言う理解の瞳・・・・・・・ではなく、白い目だった。
「あんた、私が前に言った事忘れてるでしょ。」
「・・・・何か言いましたっけ?」
この言葉でフェリシアの感じが変わった。
色で言うなら青から赤へ、といった所だ。
「あのねぇ!あんたが元・化け物なんて言って誰が信用するのよ!っていうか、怖がられたり捕まったりしたらどうすんの!?あの人はびくびくオドオドしていくら不甲斐無いって言ってもお偉いさんなのよ!それも歴史に詳しい!あんたの事知ってたらどうするの!?捕まって実験されて解剖されて分解されてホルマリン漬けにされてその辺の博物館や研究機関にのそーんと飾られてもいいの!?いいってーの!?ええ!?」
すごい勢いでまくし立てながらフェリシアの腕がアツェムの胸倉を掴んでぶんぶんと縦横無尽に振っていく。
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