「ねぇ、・・・・アンタ何歳?そういえばあいつには1000年ぶりとか言ってたけど・・・・。」
少し落ち着こうと飲み物を注いであったコップに彼女が手を伸ばす。
「はぁ・・・・・よくは覚えていませんが、多分4000〜6000年程かと」
ブーーーッ
喉を潤していた彼女の口から勢い良く飲み物が噴出された。
「うわっ。フェリシアさん御行儀悪いですよ。一度口に入れたものを吐き出すなんて。」
と、講義するアツェムにフェリシアが食って掛かる。
「あ、あ、あ、アンタ何年生きてんのよ!!人間の眷属になったとか言ってたじゃない!!ぜんぜん人間と違うよ!!」
見た目とのあまりのギャップに彼女が猛講義する。
が、そこまで言って彼女が何かに気付いた。
「ああっ!もしかして眷属になってまだ数年とか、で、今はもう人間と同じように年を取って・・・・」
言い終わる前にアツェムは軽く否定する。
「ああ、寿命は多分・・・・・・摂取する物が少しでもある限り存在しないかと。」
あまりに想像とかけ離れた答えに彼女の言葉が止まる。
「・・・・・・・・・・あ、あのさ、あんたって・・・・・・ぜんぜん人間の眷属になれてない気がする。」
そして、それだけしか彼女に言う気力は無かった。
「はぁ?そうでしょうか?」
アツェムの方は何が違うのだろうと、少し考え込んでしまった。
「寿命が無いって・・・・・そんなのアリ?」
フェリシアは見た目と実年齢のあまりのギャップ、そして彼の口から出た事実に力無い文句を言っている。
「アリとか言われましても・・・・まぁ、あまりお気にせず。」
アツェムは大した事でもないと言う風に笑っていた。
「はぁ、もう、悩んでたのが馬鹿みたい。」
「悩む?何か悩み事でも?」
「なんでもないわよっ。」
アツェムの質問を跳ね除けると、フェリシアは手元の飲み物に口をつけた。
すると、彼女の目に血のような赤い宝石が彼の腕に巻かれた鉄のベルトに多数付いているのが目に付いた。
「ん?なにそれ?ずいぶん高そうな宝石ね。それに年代物そう。」
軽く数百年はたっていると思われるそのアクセサリーは見た目から相当な値だと思われた。
「はい?これですか?」
「そうそれ、ちょっと見せてくれない。」
それを聞くと宝石の一つを取ってフェリシアに手渡した。
「へぇ、それ取れるんだ・・・・・うわっ!これシグル・メレンデァじゃない!!嘘、遠目じゃ判んなかったけど、まさかこれだったなんて・・・・」
それを聞くと、アツェムは不思議そうな顔をした。
「あれ、その言葉・・・」
アツェムの言いたい事が判ったのかすぐにフェリシアは答えた。
「ああ、宝石なんかの名前は昔ながらのものが多いの。私これでも道具屋で働いて長いんだから。」
と、自慢げに言った後
「て言うか、あんた、昔の言葉と今の言葉話せるくせに今の言葉書く事は出来ないの?」
またも彼女の疑問が増えた。
「ああ、話す言葉が変わっていくのは感じられた、と言うか普段生活していれば身に付くものですから。でも、旅暮らしじゃ文字なんて使いませんからね。」
「ふーん。なるほど。」
「で、話は戻しますけど、それが何か?」
と、彼は彼女の手に硬く握られている宝石を指差した。
「え?ああ、そうね。これ、すごい貴重な宝石よ。今じゃすんごい値段が付くって冒険家の間じゃ超が付くお宝なんだから。」
「おやおや、これって今じゃそんなに貴重なんですか?」
彼は腕にある宝石を見た。
「ねぇ・・・もしかしてそれ全部?」
彼女は腕にまだこの宝石が大量にあることを思い出した。
「ええ、そうですよ。」
あっさり答えるアツェム、彼女は驚きすぎて声もでない。
それもそうだろう、一つでも計り知れない値段を持つ宝石がここまであるのだ、国の一つでも買えそうである。
そんな光景に彼女が唖然としている手前、彼がとんでもない事をした。
「これがそんなに。」
手で宝石を弄んでいた彼が不意に手を滑らせてしまったのだ。
「おや。」
・・・・・カツン
床が乾いた音を立てる。
そして宝石はコロコロと転がった。
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