夕焼けを旅人姿の男が歩く、20代の見た目優しそうなごく普通の男であった。
と、その足元に何かが当たる。
「おっとと、ごめんなさい。大丈夫ですか?」
自分の足に当たった小さな相手にその気の優しそうな男は謝っていた。
しかし当たった相手はそんな事よりも怪我をしているらしい自身の足の方にばかり気がいっていた。
「おや、お怪我をなさっておいでですか?」
男が小さな相手を気遣う。
それが気に食わなかったのか、相手は男を威嚇した。まるで「俺にかまうな!」とでも言っている様子だった。
「ふふ、そう警戒しなくても大丈夫ですよ。」
にこやかに言う男、だが、相手は威嚇をやめない、自分を傷つけたものと同じ種族など信用できるか、といった様子である。
「ほら、治して差し上げますから傷を見せてください。」
そんな威嚇を無視して男が手を差し出した。
瞬間―――――
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「ああ〜終わった終わった。」
伸びをして彼女が唸った。
「お疲れ様、フェリシアちゃん。」
店の看板の前に本日閉店の札をかけた店長が話しかける。
「毎度毎度、ほんっと重労働だわこれ。」
コキッコキッ
と、両肩を鳴らしながら言うフェリシア。
「はは、7割はフェリシアちゃん目当てだよ。ほんと、うちの招き猫さんだね。」
店長はからからと笑いながら言った。
「はぁ、それなら給料もうちょっと上がりませんか?」
じとっと店長の方を見るフェリシア。
「あはは、もうちょっとお客さんが増えれば考えてあげてもいいよ。」
にこやかに残酷な事を言う店長。
「死にますって。」
店内に二人の笑い声が木霊した。
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「じゃぁ、そろそろ帰りますね。」
身支度を整えて店長に告げた。
「ああ、気をつけてね、最近物騒だから。フェリシアちゃんはうちの看板娘なんだからね。」
店の奥のほうで店長が言った。
「大丈夫ですよ。これでも腕にはちょっと自信があるんです。」
と、力こぶを作るポーズをするフェリシア、当然力こぶは出ないが・・・。
「はは、それじゃまた明日。」
「はい、それでは。」
言って彼女が店を出て数分、彼女の耳に喧騒が入って来た。
「・・!!!・・・・・・!!」
「○×△◇☆@〜〜!!」
「・・・何かしら・・・っ!まさか、暴漢!?」
彼女の顔がさぁっと青ざめる。
「誰か襲われてるのかしら、警備隊・・・を呼びに行ったら手遅れだろうし、でも、恋人同士の喧嘩とか酔っ払いかも・・・・・ああもう、確認するしかないか!」
と、頭をくしゃっと掻いて彼女は走り出した。
そして、近付いて行くうちにだんだん声がはっきりとしてくる。
どうやら動物らしき声が混ざっている。
なにやら獣ともめている様な風だという事はわかったが何を言ってるかは聞き取れない。
「野生の動物に襲われてるの?声は・・・あそこの曲がり角からね。でも、もし私にも襲って来たら、・・・・ええい、でも見捨ててなんかいられない!もし人のほうが生死にかかわる怪我を負ってたら!」
と、彼女は近くの草むらに落ちていた木の棒を掴んだ。
そして、勢いをつけて角から一気に―――――!!
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