数分後。
「・・・・・マジで、幻?」
煙の中を歩く彼が呟いた。
「これ、なんか、現実って感じがすんだけどなぁ〜。・・・・・まさか臨死体験!?この霧の向こうはお花畑!?いや、馬鹿か俺は。」
と、一人騒ぎながら煙の中を行く。
「なんか、ぜんっぜんケムたく無いんだよなぁ〜。やっぱ俺死んでんのかなぁ?」
少しづつ彼は不安になってきていた。
周りはこの煙のせいで何も見えず、ついさっきまで死ぬという絶望を感じていた彼は自身が生きてる事を今ひとつ確信付けられないのだ。
「んあ?なンだこれ?」
黒い煙に覆われ、此処まで来るまで判らなかったのだろう、彼の目の前には大きな塔が立っていた。
外見は煙に反しているかのような真っ白な色、だが、その壁や扉は全て何か特殊な金属で出来ているようだった。
「塔?だよなぁ?なンでこんなトコに塔があるんだ?っつか、こんなもんがあるなら誰か一人位気付いてもいいっだろうに・・・・・」
と、彼は部族にいたときを思い出し始めた。
「・・・・・・ん〜、やっぱ聞いたことねぇなぁ。」
彼がそうやって考えていると、徐々に塔を中心にある程度煙が晴れ始めた。
その勢いは意外と早く、すぐに塔を中心にして周囲30M程の煙が晴れ、彼は自分がどこで塔を見上げているかを気付かされる事になる。
「・・・んっ?・・・・んんっ!?」
砂漠に有るまじきその光景に彼は驚き足元を見渡す。
「おわっ!?お花畑!!や、や、やっぱ俺は死んだのかぁ!!ここがあの世なのかぁぁ!!マジかよ・・・」
辺りを見渡す。
「うっわ、誰もいねぇ。やっぱここってあの世なのかねぇ〜。」
一気に叫んで逆に落ち着いたのか、ただ開き直っただけなのか、彼はゆっくり辺りを観察していた。
「回り一面のお花畑かぁ〜なんか、あの世だよなぁ・・・。」
言ってすぐ、彼の目が何かを捕らえた。
「ん?・・・ん〜〜?何か・・・・来るな。」
塔の裏側にいたせいで気が付かなかった様だ。
何かが塔の裏側から出てきて彼のほうへ向かって来た。
「おっ!人いんじゃん。おお〜〜い!!」
両手を挙げて近づく何かに彼が歓喜する。
やっと自分の仲間を見つけたといわんばかりの喜びようだった。
「おお〜い!あんたもはぐれたのか〜〜?おお〜〜〜・・おおおぉぉぉぉぉおおおおおお!!!?????」
大きい。
それが彼の第一印象だ。
彼に近づいてくる何か、それは彼の身長の軽く三倍はあった。
そして、明らかに人間ではなかった。
ソレは彼の5Mほど前で近づくのを停止した。
「・・・・・・・・・」
そして何も言わずに彼をじっと見ている。
「・・・え、え〜っと?か、変わった服・・・・だな、あんた。」
何とか彼は意思の疎通を試みる。
「な、なぁ?あンたも、仲間とはぐれたんか?ここ、食いモンとか・・・・」
「カクニン」
いきなりナニカから言葉らしきものが発せられる。
「キリ、ナイブニ、シンニュウシャ、シキベツ、ニンゲン」
片言の話し方に彼は動揺した。
「あ、アンタ変な話し方だなぁ。いや、別に悪いって言ってるわけじゃねぇぜ。」
「ハイジョスル」
「・・・・・へ?」
ガチャッ!ウィィィイィィイイイイ、キュルルルルル、ガキュン!!
何かの腕から、見慣れないものが出てきた。
だが、彼はソレと似たものを部族の大人から見せてもらった事があった。
そう、あれは、砂漠で盗賊などに襲われた時に護身用だと言っていた・・・・・。
「うわわわわわわわわわあああああ!!!!!!!」
とっさに彼の体が花畑を転がる。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!!
ほんの数秒前まで彼のいた場所に数十発の弾が打ち込まれた。
今その場は花も草も欠片も残さず大地が抉れていた。
「うわっ、うわっ、」
彼は驚き過ぎて物を考える事どころかまともに言葉を発する事さえ出来なかった。
「な、な、いきなり何すンだよ!!」
と、やっと話せるようになった口で抗議する。
その間にも
ウィィィィィィン・・・・・ガキョン・・・・・・ガキュン!!
弾が再充填されるだけでこの何かは話すことは無かった。
「聞けよぉぉぉぉぉぉ!!!!この野郎!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!!
返事と言わんばかりに弾が打ち込まれる。
彼はそれを何とか避けて回っている。
「はぁ、はぁ、何なンだよここは!!ま、まぁ、天国じゃねぇってのは確かだけど。」
彼がぼやく。と、
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!!
「うわわわわわわ!!!!」
またもそこに銃弾の雨が降り注ぐ。
「はぁあ!殺される!!」
彼がどこか逃げ場所を探す。
「ちぃぃ!!糞。」
見えたのは岩場、丁度煙とこの景色の境目にある岩くらいしか逃げられそうな場所は無かった。
だが、そこまでの距離は少なく見積もっても30Mはある。
その距離を直線で走れば、恐らくそこに着く頃には蜂の巣どころか体の欠片すら残っていないだろう。
だが、そこに行く以外手段は無い。
彼は少しでも可能性を得ようと弾が切れる寸前に走り出そうと試みる。
それまでは何とかして少しでも直線距離を縮める避け方をするように努めた。
尤も、転がって何とか避けるので精一杯なので大した距離短縮は出来なかったが、
「どうにでもなれ!!」
そう言って弾が切れる数秒前を見計らい、彼が転がる事から一転、岩に向かって走り出した。
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