2000年度冬の例会


 2月12日 日曜日に、大分市立文化会館で冬の例会を開催しました。
 今回は、初めての企画で「パネルディスカッション」を行いました。また、参加者も62名と、これまでの例会の中では、最も多い部類でした。
 残念なことにパネラーもコーディネーターも初めての経験だっため、あまりスムーズでもなかったし、会に参加された皆さんのご意見が十分出せる形にもなりませんでした。
 しかし、内容はそれぞれの立場から、子どもの居場所についての経験に基づいたお話がされ、参考になったと思います。
 以下に、例会の概要を掲載します。
編集していますので、発言の順などについては、異動があります。

親の立場から
     (不登校の子を持つ大分市親の会「コスモスの会」後藤さん)

 後藤さんは、子どもが不登校をはじめたとき、「なぜ」「どうして」と考え、「自分の育て方が悪いのだろうか」と自分を責めてみたり、「子どもを不登校にしたのはあそこがあんなことをしたからだ」と回りのせいにしたりと、半年ほどずいぶん悩みました。家族からも、理解が得られず、「弱い子だ」「情けない」という見方をされました。しかし、後藤さんは、「あの子は、そんなんじゃない」と言い続けました。
 けれど、周りの声にどうしても心が振り回されてしまう。それで、まだ当時は大分には親の会などなかったので、自分で本を読んだりして勉強をしました。また、「子どものため子どものため」と、仕事も趣味も投げ出して子どもと付き合っていたのですが、「自分が幸福でない人は、他の人を幸福にできない」と気づき、本屋でバイトをはじめ、社交ダンスもはじめました。ところが意外なことに、社交ダンスをしている人たちの家族などにも、不登校を経験している人が案外いることがわかり、「同じような経験の人もいるんだ」と、孤立感から解放されます。
 今、後藤さんの子どもは、高校に通っています。学校でストレスをためて帰ってきます。でも、「やめることはしない」といいます。
 後藤さんは、「他人の目は気にしない」といいます。「他人が、いろいろとうわさをしても、自分が死んで骨になってまで、『あそこの子どもは不登校だった』なんて言わない。そんな他人の目より、たった一人の自分の子どもから、自分が死ぬときに『お母さんが、自分のお母さんでよかった』と言ってもらいたい。」と言います。
 引きこもりで困ったと言うお母さんがいるが、それなら、そんな困っている人ばかり集めて、商売でもして子どもとともに生き抜いていきたい。と語りました。

フリースペースのボランティアの立場から
      (フリースペース「フリーリー」ボランティア 芝さん)

 フリーリーは、フリースペースなので、プログラムはありません。子どもが、自分で自分のやることを決めます。漫画を読んでいる子もあれば、じっと座ったままの子もいます。
 スペースがゆったりしていること、制限時間がないことなどが特徴です。
 そんな中で、子ども同士のかかわりがないかといえば、そういうことではなく、それぞれ自分のスタイルを壊さずに、合わないことも付き合い方をさがしています。
 芝さんは、すごく毒舌な子どもに対して、そういう毒舌を口にできる相手だと安心しているから、その子は、そんな言葉を口にできるのだととらえています。その子が
いい顔をしているときが、その子にとっていい居場所になっているのだろうと考えています。間違っていることをしたり言ったりすることはあっても、その子は「それじゃいけない」ということはわかっている。でも、そのことをその子が自分で修正するためには、まず『受け入れる』ことが先にあるといいます。
 「無理にでも仲良くしなくては」という雰囲気が学校にはあるが、フリーリーにはそれはありません。
 芝さんは、スタッフのモデリングが大切だと言います。スタッフが自分のしたいことをする。そんな中でいろんな自分を見つけ、受け入れていくというのです。


学校の立場から
      (大野郡の小学校教員・大野郡「親の会」 阿南さん)


 今、県内の学校研究では、「一人一人」「生き生きと」という言葉がもっとも多く研究テーマに使われています。また、「子どもの声を聞こう」とする取り組みも増えています。
 阿南さんは、「信頼関係をどこかに築いていかなければ」といいます。ただ、そう考える教師の中にも、「甘やかしではないのか」と思ってしまう『揺れ』があると言います。また、「仲良くしよう」「みんな同じ」という教師の価値観にも問題があると言います。
 行事も、スケジュール的になりなりがちだと言います。そんな中で、「総合学習」には、子どもの自発的な学習が期待できます。
 「できる」「できない」という価値観も、学校が作っているところがある。たとえば手を挙げて発表した子どもの意見が間違っていたときに、他の子が元気よく「違いまーす」と言うのも、何かおかしい。
 そういうものではない学習の形を、今模索している。学校はもともと楽しいところのはず。そういう学校に戻ることを目指して行きたいと考えています。
 学校と言う建物の中でも、保健室は、子どもが元気を取り戻す場所になりえると言います。保健室を足がかりにして元気を取り戻し、教室へ帰っていく子もいます。

パネラーへの質問

後藤さんへ

現在、後藤さんの子どもは学校にいけるようになっているらしいですが、次第に行動範囲が広くなっていくときの経過について教えてほしい

回答  受け入れることのできた教師がいた。友達も。
 高校は、知った子がいないこともよかった。しかし、その高校でも次第に人間関係ができてくると、傷つくことも多くなり、一時、目をわずらった。
 ポランの広場にも、何度か行ったが、そこでは、教師と一対一の関係を作ることに役立ったようだった。
 私は、常に外敵から子どもを守った。でも、家族の仕事は必ずさせた。畑を持っているが、筍堀や畑仕事は、家族のルールとして、サボることは許さなかった。畑で、家族がいっしょに作業をした。
 行動範囲は、一度にではなく、次第に広がった。
後藤さんへ うちの子どもは、家で荒れる。受け入れるのが難しい。
回答  不登校の過程の中で荒れることは珍しいことではありません。うちの子も、壁に穴をあけたこともあります。ずっとそうではないので、お母さんが「自分のところは特別」と思わずに、追い詰められないように、不登校の子を持ついろんな人と話をしては?



例会参加者からの感想(一部)
大分市の方
 生き方を考える
 親も子もいっしょに生きていくことを考えなければ
 もっと大きな視点で構えることが大切ですね。
 心がリフレッシュ。いろいろな風をいただきました。
大野郡の方
 今回、不登校している子自身の声を聞くことができて大変よかったです。自分自身の子どもが選択したことは、本人にとって、本当に無駄ではなかったと自信を持って言うことができます。
速見郡の方
 毎回例会にくると、子どもの居場所や学校の存在意義について考えさせられます。
 毎回といっても、久しぶりに来ました。最初のころから大きく進展して、毎回驚かされるばかりです。私自身が「教師」という立場になったからこそ、中に入っていくのをためらっていましたが、今日は中に入って参加してよかったです。
匿名の方
 とてもいい話が聞けてよかった。
 居場所……。私にとっては、安心して過ごせるところかなあ……。と思いました。いつもいつもがんばらなくてもいいし、悪いところを見せてもいい。すべてを受け入れることって難しいけど、大事なんだなあ と思いました。
速見郡の方
 今日は発言をさせていただくことで、自分や学校の実践のプラス面、マイナス面が少し明らかになってきました。他の方々の発言、大変参考になりました。今日は子育てを終えた友人がともに参加してくださり、よかったと思います。次はまた友人を増やして参加していきたいと思います。ありがとうございました。
匿名の方
 この会でいろいろな人に会えることがとても魅力です。
 皆さんの体験談はどれも心に響くことばかりで、勇気付けられます。
 一人一人の体験を聞く時間はないでしょうから「次回までに書けたら…でよいので」という形で、体験談を集め冊子にしてもらえることは過去あったのでしょうか?

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