最初に……よく「孫子」は「戦争論」(クラウゼヴィッツ著)に勝る、とされている本をよく見かける。だが、この説を私はとらないし、この説を唱えた張本人である故リデル・ハート卿の母国であるイギリスでもこの説は否定されている。孫武とクラウゼヴィッツは遠く離れた時代と土地において、同じ目標に向かう異なる道を歩んでいたのである。そしてクラウゼヴィッツは自らの歩む道は時代時代によって変わるだろうとも言っている。彼を安易に「殲滅論者」としてしまい、貶めることは自らの不明を示すことではあるまいか。